東洋医学の「血(けつ)」とは?
〜健康と美容の土台になる基礎知識〜

血(けつ)とは?
東洋医学でいう「血(けつ)」は、西洋医学でいう血液と完全に同じではありません。
血液の働きに加えて、「体に栄養と潤いを与える大切なエネルギー源」
としての意味を持っています。
血は、食べた物からつくられ、全身を巡り、肌・髪・爪・内臓・心の働きまで支える存在。
つまり 「血(けつ)が充実している=体も心も美しく健やか」 ということです。
血の役割
東洋医学では、血には大きく3つの役割があります。
1 栄養する
筋肉や臓器に栄養を届ける。元気に動けるのは血のおかげ。
2 潤す
肌・髪・爪・目・関節をうるおす。美容に直結!
3 心を安定させる
血は心(精神)を落ち着ける働きもあり、不眠や不安感とも深く関係。
血が足りなくなると、体や心にこんなサインが出てきます。
それでは、具体的に状態を上げると
- 顔色が青白い、ツヤがない
- 髪がパサつく、抜けやすい
- 爪が割れやすい
- 目が乾く、視力の疲れ
- 動悸、不安、不眠
美容で言えば「老け顔」「乾燥肌」「髪が細くなる」などにつながります。
血がスムーズに流れないと、体の隅々まで栄養が届かず、老廃物もたまります。
この状態が以下の症状となります。
- 肩こり・頭痛・冷え
- シミ・くすみ・クマ
- 生理痛や子宮の不調
- 慢性的な疲労
見た目にも「血色の悪さ」や「肌の透明感のなさ」として表れます。
血を元気に保つためにできること
血を整えることは、美容と健康の土台づくりそのものです。
それでは生活の中でどのように整えたら良いのか?
以下のことに注意してみてください。
- 食事:赤身の肉、レバー、ほうれん草、黒ごま、なつめ など「血を養う食材」を意識
- 睡眠:夜ふかしは血を消耗するので注意
- ストレスケア:心が乱れると血の流れも乱れる
- 軽い運動:気血の巡りをよくして全身に栄養を届ける
関連する臓腑
血の生成や循環には、次の臓腑が大きく関わります。
- 肝:血を貯蔵し、全身に必要なときに届ける
- 心:血を巡らせ、精神を安定させる
- 脾:食べ物から血を生み出す
まとめ
東洋医学の「血(けつ)」は、体と心、美容を支える大切な存在です。
血が不足すれば乾燥や不眠、血が滞ればシミや冷え…。
つまり「血を整えること」が美と健康の第一歩。
毎日の生活の中で、血を養い、巡らせる工夫を取り入れてみてください。
気血の滞りからの肩こり
津液(水)とは?体をうるおす大切な存在
こんにちは!今日は東洋医学の基本のひとつ「津液(しんえき)」についてお話しします。
「津液」とは、かんたんに言うと 体の中の水分の総称 です。
血液以外の体液、つまり汗・涙・唾液・関節を滑らかにする液
皮膚や粘膜をうるおす水分などを全部まとめて「津液」と呼びます。
イメージしやすく言えば、体の中にある“天然の化粧水”や“潤滑油”のような存在です。

津液の働きって何?
https://okabe-fp.com/nanto/645/
津液はただの水分ではなく、体を健康に保つためにこんな働きをしています。
- うるおいを保つ → 肌や髪にツヤを与える、目や口の乾燥を防ぐ
- 関節をスムーズに動かす → 関節液として“潤滑油”の役割
- 臓腑や器官を守る → 粘膜や臓器を乾燥から守る
- 代謝や排泄に関わる → 汗や尿として老廃物を出す
つまり、津液が十分にめぐっている状態は、肌も髪もイキイキして、体の動きもスムーズ。
まさに“みずみずしい健康”そのものなのです。
津液のバランスが乱れるとどうなる?
津液は「不足」「滞り」「過剰」の3つでトラブルが起こります。
① 津液が不足すると…(乾燥タイプ)
- 皮膚の乾燥、かさつき
- 目や口の乾き、声がかすれる
- 便秘(カチカチ便)
- のぼせ、ほてり
👉 例:エアコンで乾燥した部屋に長時間いると、のどがカラカラになりませんか?
これが津液不足の一例です。
② 津液が滞ると…(水の巡りが悪いタイプ)
- むくみ、体が重だるい
- 頭が重い、めまい
- 胃もたれや吐き気
- 関節の動きが悪い
👉 例:雨の日に体がだるい人は、体の中の水のめぐりが悪くなっている
可能性があります。
③ 津液が過剰になると…(余分な水がたまるタイプ)
- 水太り
- 痰がからむ咳
- 鼻水が止まらない
- お腹がポチャポチャ音がする
👉 例:冷たい飲み物ばかり飲んでいると胃腸が冷えて、
水分が処理できずに余ってしまうことがあります。
津液を整えるためにできること
では、津液のバランスを整えるにはどうしたらいいのでしょう?
津液不足には
- 白きくらげ、梨、豆腐、はちみつなど“うるおす食材”を取り入れる
- 水分を少しずつ、こまめに摂る
- 夜更かしを避ける(津液は睡眠中に養われます)
津液の滞りには
- 適度な運動で発汗し、めぐりを良くする
- ハトムギ、冬瓜、緑豆など“利水作用”のある食材をとる
- 冷たい飲食を控える
津液過剰には
- 生姜やねぎなどで体を温め、余分な水を追い出す
- 甘いもの・アルコールを控える
- 消化力を落とさないように腹八分目を心がける
津液(水)と関係の深い臓腑
津液の生成やめぐりには、東洋医学でいう「臓腑」の働きが大きく関わっています。
- 脾(ひ)
- 食べ物や飲み物を消化・吸収し、水分を“津液”に変える工場のような役割。
- 脾が弱ると → 水分がうまく処理できず、むくみ・水太り・胃もたれに。
- 肺(はい)
- 津液を全身に散布して、皮膚や粘膜をうるおす。
- 肺が弱ると → 乾燥肌、のどや鼻の乾燥、咳が出やすい。
- 腎(じん)
- 津液を蓄え、必要に応じてコントロールする貯水タンク。
- 腎が弱ると → 尿トラブル、むくみ、冷え、慢性の乾燥感が出やすい。
- 三焦(さんしょう)
- 上・中・下の3つの水路を通して、津液を全身にめぐらせる「水の通路」。
- 三焦が滞ると → 水が停滞して、むくみや痰が出やすくなる。
まとめ
「津液(水)」は、体をうるおし、動きをなめらかにする大切な存在。
不足すれば乾燥し、滞ればむくみ、余れば痰や水太りにつながります。
つまり、津液のバランスは “みずみずしい健康と美容”のカギ なのです。
あなたの体は今どのタイプでしたか?
ぜひ生活習慣や食べ物を少し工夫して、津液を整えてみてくださいね。
血虚(けっきょ)とは?
40代女性が気をつけたい“隠れ貧血”のサイン
はじめに
「なんだか最近、顔色が冴えない」
「髪がパサつくし、抜け毛も気になる」
「夜になると目がしょぼしょぼして、本を読むのがつらい」
そんな経験はありませんか?
東洋医学では、こうした状態を 「血虚(けっきょ)」 と呼びます。
簡単に言うと「体の中に血が不足している状態」。
ただし、ここでいう“血”は西洋医学の血液だけではなく
肌や髪、目や心までうるおす大切な栄養源 を意味します。
血虚とは?
血虚とは、体の中の「血」が十分でなかったり、質が悪くなったりしている状態です。
東洋医学でいう「血」は、
- 肌にツヤを与える
- 髪を美しく保つ
- 目に栄養を送る
- 心を落ち着かせる
といった役割を持っています。
そのため血虚になると、見た目だけでなく気持ちや体調にも影響が出てしまうのです。
血虚のサイン(具体例)
血虚の人によく見られる症状にはこんなものがあります。
- 顔色が青白い、もしくはくすんでいる
- 髪がパサつく、抜けやすい
- 爪が割れやすい、薄い
- めまいや立ちくらみを起こしやすい
- 目の疲れ、ドライアイ
- 不眠、夢をよく見る
- 生理の量が少ない、周期が乱れがち
例えば、40代女性のお客様からはこんな声をよく聞きます。
「仕事終わりに鏡を見ると、顔が土色っぽくて老けて見えるんです」
「シャンプーするとごっそり髪が抜けて、ドライヤーの後は床に毛が落ちていてショック…」
これらはまさに血虚の典型的なサインです。
血虚になりやすい人
- ダイエットで食事量が少ない
- 忙しくて睡眠不足が続いている
- 生理や出産で血を多く消耗した
- ストレスが強く、自律神経が乱れている
特に40代は、更年期の入り口でホルモンの変化が大きく、血虚が進みやすい年代です。
血虚を改善する生活のヒント
① 食事で「血」を補う
血を養う食材を積極的に取りましょう。
- レバー、牛肉
- ほうれん草、にんじん
- 黒ごま、なつめ、クコの実
- 卵
「毎朝なつめ茶を飲むようになったら、肌の乾燥が和らいできた!」という声もよくあります。
② ツボ押しで血の巡りをサポート
- 三陰交(さんいんこう):内くるぶしの上、指4本分のところ。女性の血のトラブル全般に。
- 血海(けっかい):膝のお皿の内側、指3本分上。血を補い巡らせるツボ。
お風呂上がりにやさしく押すのがおすすめです。
③ 睡眠とリラックス
血は夜つくられると言われます。
- 夜更かしを避けて23時前には布団に入る
- アロマやお風呂で副交感神経を高める
これも立派な「血を養うケア」になります。
おわりに
血虚は放っておくと、肌や髪のトラブルだけでなく、心や体の不調にもつながってしまいます。
でも逆に言えば、血を養うケアをすれば、
- 顔色が明るくなり
- 髪や肌にツヤが戻り
- 気持ちまで落ち着く
そんな変化が期待できるのです。
「最近ちょっと血虚っぽいかも」と思ったら、今日から小さなケアを始めてみませんか?
https://okabe-fp.com/nanto/716/